クセになる怖さ?!
まだ字は読めないけど、絵本読んでもらうのは好き!!っていうくらいの年齢のお子さんに、オススメしたい「丁度いい?!クセになる怖さ」の絵本を2冊紹介します。
オバケ絵本の代表格!と勝手に決めている1冊です。0〜3歳児向けに描かれているにもかかわらず、勧善懲悪の救いのない結末!!
「おばけのせかいへ とんでいけ」
と、夜寝ない悪い子をおばけの仲間にして、家から追い出してしまうのです。
大人が初めて読んだ時の印象は、「ちょっとやり過ぎなのでは、、。うちの子には、怖すぎるかな、、。」
でも、これが子どもには全然違ったようで、まだ言葉もつたない当時2歳の娘は、とにかく飽きもせず「もう1回!」「また借りて!」
結局、図書館で借りまくった挙句に購入しました。
あまりにもしつこく読んだので、父も母も暗闇でも音読できるほどセリフを暗記。とても短いお話なのです。
なぜ、あんなに小さい子が、楽しい話ではなく、怖い話にハマったのか?!
今になって思うのは、やはり言葉のリズムの良さの妙と、怖く読もうとする親の普段とは違うキャラが楽しかったのではないかと、、。
子どもにとって、本当に絶望するほど怖い話は、やはり親としては読みたくありません。
でも、普段から「早く寝なさい」と口を酸っぱくして言われている子どもは、親の小言よりも、「ねないこだれだ」の方が、鮮やかで分かりやすく、納得できるものだったのかもしれません。
むしろ、親の本音(早く寝てほしい)に、楽しくリンクできるツールだったような気がします。
子どもは怖い声で叱られるよりも、絵本の方がきっとずっと楽しいし、大人も物語に乗せて本音をズバッと言えるなんて、本当に素晴らしい絵本だったのだな、、と改めて感じる1冊です。
ナンセンス絵本の天才、長新太さんによる小さい子向けの絵本です。
たぬきのおじさんが、自動車に乗っていると魚が助けを求めて逃げてきます。
向かった先に現れたのは、巨大なカエルの怪物。
圧倒的な大きさの違いに太刀打ちできるわけもありません。
おじさんは、ブルブル震えながら、お腹をたたいたり、クラクションを鳴らしたりして、せめてもの対抗をします。
「ぽんぽん ぶうぶう ぽんぶうぶう」
そのシュールだけど楽しいひびきに、当時3歳の息子はもう夢中。
最初は、乗り物好き男子だから「じどうしゃ」だし、いっか!?と、手に取ったのですが、中を読んでみると、予想と全然違っていて、びっくり!!
無駄に怖がらせておいて、その後の肩すかしがスゴイ、、。
大人からすると「こんなのありえない!」
でも、息子の印象は違ったようです。
最初は、本気で怖がっていましたが、力の抜けた結末に、「何で?!」攻め。
そんなの、大人にも説明できないので、「何でだろね!?」と返すしかありません。
その後、怒涛の「もう一回!」攻撃。
そして、「ぽんぽん ぶうぶう」のくだりを連呼し、日常生活に、たぬきのおじさんが入り込んでくる状態に、、。
これまで、どちらかというと電車や車の図鑑の方を好んでいた息子でしたが、お話のある絵本もちゃんとどっぷり楽しめるんだな、というちょっとした希望が見えました。
怖さの中に、笑いのある塩梅が、大人と子どもが同じ視点に立って物語を楽しめた理由なのでしょうか?!
長新太さんの作品のもつ世界観は、驚きとありえなさ、カラッとした笑いが満ちていて、読後の爽快感がたまらないです。
記:まりちゃん