「OLIVIA オリビア」作:イアン・ファルコナー 訳:谷川俊太郎(あすなろ書房)
足し算と引き算のどちらかでいうと、完全に引き算に成功している絵本だと思います。
使われている色は、ほぼ白と黒と赤だけ。
ブタの女の子と、家族のものがたり。
淡々とした日常生活…
朝起きて、着替えて、出かけて、ご飯を食べて、寝る。
シンプルな中に込められた、子どもへの愛情ある目線に、ほっこりさせられる1冊です。
「これがオリビア。なんでもじょうず。
ひとをへとへとにするのがとくい。」
そうそう。子どもって、大人をへとへとにするのが本当に得意ですよね…。
でも、彼らがやっている遊びやこだわりって、とんでもない可能性を秘めているので、ないがしろにもできないのです。
姉弟や親子でのかけひきや、思いついたら試さないと気がすまないところなど、
子育てあるあるが印象的にちりばめられています。
でも親は一つも怒ることはなく、やれやれ…と子どもらしさを全面的に受け入れて、「なんてったって、あいしているからね」と伝えるのです。
いつもへとへとにされて、「子育てなんて、理不尽だ」とウンザリしがちだった私は、
この絵本から、子どもに振り回されることを楽しむ術を学んだような気がします。
また、寝る前にこの本を読む時間は、叱りすぎてギスギスしてた親子関係に、ちょっと優しいクスッとした笑いを提供してくれました。
我が家にとってはまさに「子育ての救世主」のような1冊だったと思います。
記・まりちゃん