「きつねのホイティ」作:シビル・ウェッタシンハ 訳:まつおかきょうこ(福音館書店)
コロナ自粛になって、失われたものの一つに井戸端会議があると思います。
私は結婚を機に上京したので、子どもを産むまでは、近所に友達もおらず、まさか自分が井戸端会議をする立場になろうとは思ってもみませんでした。
でも、我が子が公園で遊べるくらいの年齢になると、砂場で子どもが延々と砂いじりをしている間に、近くにいる大人同士で小さな会話ができるようになりました。
幼稚園に入園して、毎日バス停まで送り迎えをするようになると、もうどっぷり井戸端会議の仲間入りを遂げることになります。
子どもを何とかバスに乗せた後、少しだけのつもりがすっかり話し込んでしまうくらい井戸端会議をして家に帰ると、なんだか心スッキリ。
かしこまった「相談」や「懇談会」ではないからこそ、井戸端会議には ざっくばらんに何でも話せる良さがある気がします。
さて、今日ご紹介する「きつねのホイティ」は、スリランカが舞台のお話で、3人のおかみさんの井戸端会議が出てきます。
きつねのホイティは、変装して人間をだまし、ご馳走にありつこうとするのですが、アンゴウ、マンゴウ、ランゴウの3人は、すぐにその正体に気づきます。
井戸端会議で、ホイティの正体をバラしながらも、気づかないフリをして 気前よくご馳走を食べさせてあげる3人。
「今日はうちに きつねがきたのよ!」
と話し合う様子は、本当に愉快で楽しそうです。
お調子者の きつねのホイティと、3人のおしゃべり好きの女性たち・・・
だまし合いの勝負、最後に勝つのはどっちでしょう?!
南国の日差しと、自然に囲まれた村での豊かな暮らし、そして何より女性のパワーと懐の深さを感じる 楽しい1冊です。
記・まりちゃん