「ポケットのないカンガルー」作:エミイ・ペイン 絵:H.A.レイ 訳:にしうちミナミ(偕成社)
赤ちゃんが生まれて、母親になったとき、キラキラした嬉しさと共に、大きすぎる重責感をズーンと感じたことを思い出します。
初めての子育て、相手は赤ちゃん、何でも努力はしてみるものの、必ず上手くいくわけではありません。
頑張っては落ち込んでの繰り返しで、誰にも相談できない時期がありました。
今回、ご紹介する「ポケットのないカンガルー」は、そんな母親のモヤモヤした悩みに、明るく前向きにアプローチしてくれる絵本です。
カンガルーの母なのに、なんとお腹にポケットがないケィティが、主人公です。
他のママと比べても、明らかに大ピンチ!
「私だけ、坊やをどこにも連れて行ってあげられない」との冒頭から泣いています。
でも、ある日「ポケットのない動物は、どうやって子どもを運んでいるのかしら?」と聞きに出かけるのです。
ケィティは、ワニやサルなど、様々な動物に赤ちゃんを運ぶ方法を聞いて回り、そのやり方を試してみたり、子どものフレディと話し合ったりします。
そんな中で、町に行けばいいものがあるらしいという話を聞いて、町までひとっ飛び。
親切なおじさんから とっておきのアイテムをもらったケィティは、自分の子だけでなく、森じゅうの赤ちゃんのお世話ができるようなスーパーお母さんになるのです!
明るい黄色の表紙と、陽気な動物たちの表情は、屈託がなく晴れやかで、眺めるだけでも元気が出そうな雰囲気です。
絵は、「おさるのジョージ」で有名なH.A.レイさん。
子育ての悩みに対して、周囲の動物に相談し、素直に頼るケィティからは、何だか勇気がもらえる気がします。
こんなバイタリティーこそ、肝っ玉母さんになるには、きっと必要!!
悩みの尽きない子育ての道ですが、ケィティのように、明るく前向きな母でいれたらいいな。
記・まりちゃん