のんきみち日誌

『のんきみち』で、《読み合い》した本の記録を中心に、のんきみちな気分で綴るブログです。

えほん紹介コラム⑥

f:id:easy2going:20200501101701j:image「かえうた かえうた こいのぼり」石井聖岳講談社

 

5月に入ると、急に半袖でも大丈夫な日が出てきて、空の色もぐっと濃さを増す気がするのは私だけでしょうか?!

いつもは、遠方の実家で過ごすことの多かったGWですが、今年はステイホームで過ごす予定の我が家です。

ちょっと季節感が足りないかな、、と思っていましたが、息子はちゃんと見ていました。

「あっ、鯉のぼり!!」

近所のお家にはためいている、大きな鯉のぼりを、今年も見れて嬉しいな。

 

この時期になると、読みたくなる我が家の定番の絵本があります!

それは、「かえうた かえうた こいのぼり」という、やんちゃなトラの子3兄弟のお話です。

「やねよ〜り〜 た〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜」
という、きっと誰もが一度は歌ったことのある童謡を、子どもたちが、楽しい替え歌にして、元気よく歌います。

例えば、「くもよ〜り〜 た〜か〜い こいの〜ぼ〜り〜」
すると、鯉のぼりに乗って、本当に雲の上まで、みんなで飛んでいってしまうのです。

一緒に飛ばされたお父さんは大慌て!でも、子どもたちは、誇らしげに「ねえ、どうだった?ぼくたちのうた」とお父さんに聞くのです。
お父さんにコメントをもらうと、嬉しくなって、さらにスゴイ鯉のぼりを考えて歌い出す子どもたち。

調子のいい歌と躍動感のある絵で、1番、2番、3番・・と、鯉のぼりのイメージが自由にどんどん広がっていきます。

楽しい替え歌を歌いながら、絵本を見ていると、親も子も遊び心をくすぐられてテンションが上がってしまいます。

この絵本に親子ですっかりハマってしまった我が家では、絵本を読んだ後しばらくは、鯉のぼりブームが続き、何でも童謡「こいのぼり」の替え歌にして歌い合う状況が続きました。


なかなか、家から自由に出られない昨今ですが、「かえうた かえうた こいのぼり」のように、自由に替え歌をしたり、遊んだりして、親子でちょっとふざけた時間を共有できると、気持ちも発散できるし、ホッとします。

読むだけで、自然に歌も歌えて、笑えて、ツッコミたくなってしまうこの1冊、おススメです。

 

記・まりちゃん

えほん紹介コラム⑤

f:id:easy2going:20200529175711j:image「だんぼーるおうじ」長野ヒデ子(世界文化社

 


ずっと家に子どもがいると、あぁ片付かない、、。
うちは小3と年長さんの2人姉弟がいるのですが、2人が仲良く遊んでくれる日は、平和だけど家の中がぐちゃぐちゃになります。
もう足の踏み場もないくらい、、、。

彼らの遊びへの意欲と、創作の自由さは、天下一品。
次から次へと妄想が暴走し、制作物の完成度などメチャメチャ低くても、妄想でどこまでもカバー。

こんな2人のエネルギーの原点は、きっと幼稚園時代の自由保育の中で大いに遊び、大いに作った経験なのではないかな、、。

 

「だんぼーるおうじ」に出てくるゆうちゃんも、ダンボールで遊ぶ天才の男の子です。

園でも、お家でも、とにかく廃材を使って工作をしながら、ごっこ遊びを展開していきます。

最初はそれぞれの子どもが、バラバラに制作していたのですが、だんだん一緒に遊び出して、みんなで一つの大きな機械を作り出します!
また、途中から園長先生も遊びに誘われて、本気で怪獣になりきり、子どもたちとの戦いが始まります。

それまでダンボールにしか見えなかったものが、本物の怪獣やロボットになる瞬間!!

これこそが、子ども時代の真骨頂!という気がします。

最後は遊びすぎてぐちゃぐちゃに壊れてしまったダンボールの海で、大笑いをしている子どもたちと先生。

大人は片付けやゴミ減量ばかりに気を取られてしまって、なかなかこんな楽しさを味わうことはできませんが、大切な子ども心を思い出させてくれる1冊です。

 

記・まりちゃん

えほん紹介コラム④

f:id:easy2going:20200415115022j:image「OLIVIA オリビア」作:イアン・ファルコナー 訳:谷川俊太郎あすなろ書房

足し算と引き算のどちらかでいうと、完全に引き算に成功している絵本だと思います。
使われている色は、ほぼ白と黒と赤だけ。
ブタの女の子と、家族のものがたり。
淡々とした日常生活…
朝起きて、着替えて、出かけて、ご飯を食べて、寝る。

シンプルな中に込められた、子どもへの愛情ある目線に、ほっこりさせられる1冊です。

「これがオリビア。なんでもじょうず。
ひとをへとへとにするのがとくい。」

そうそう。子どもって、大人をへとへとにするのが本当に得意ですよね…。
でも、彼らがやっている遊びやこだわりって、とんでもない可能性を秘めているので、ないがしろにもできないのです。

姉弟や親子でのかけひきや、思いついたら試さないと気がすまないところなど、
子育てあるあるが印象的にちりばめられています。
でも親は一つも怒ることはなく、やれやれ…と子どもらしさを全面的に受け入れて、「なんてったって、あいしているからね」と伝えるのです。

いつもへとへとにされて、「子育てなんて、理不尽だ」とウンザリしがちだった私は、
この絵本から、子どもに振り回されることを楽しむ術を学んだような気がします。

また、寝る前にこの本を読む時間は、叱りすぎてギスギスしてた親子関係に、ちょっと優しいクスッとした笑いを提供してくれました。
我が家にとってはまさに「子育ての救世主」のような1冊だったと思います。

 

 

記・まりちゃん

えほん紹介コラム③

クセになる怖さ?!

まだ字は読めないけど、絵本読んでもらうのは好き!!っていうくらいの年齢のお子さんに、オススメしたい「丁度いい?!クセになる怖さ」の絵本を2冊紹介します。

 

f:id:easy2going:20200412162852j:image①「ねないこだれだせなけいこ福音館書店

オバケ絵本の代表格!と勝手に決めている1冊です。0〜3歳児向けに描かれているにもかかわらず、勧善懲悪の救いのない結末!!

「おばけのせかいへ とんでいけ」

と、夜寝ない悪い子をおばけの仲間にして、家から追い出してしまうのです。

大人が初めて読んだ時の印象は、「ちょっとやり過ぎなのでは、、。うちの子には、怖すぎるかな、、。」

でも、これが子どもには全然違ったようで、まだ言葉もつたない当時2歳の娘は、とにかく飽きもせず「もう1回!」「また借りて!」

結局、図書館で借りまくった挙句に購入しました。

あまりにもしつこく読んだので、父も母も暗闇でも音読できるほどセリフを暗記。とても短いお話なのです。

なぜ、あんなに小さい子が、楽しい話ではなく、怖い話にハマったのか?!

今になって思うのは、やはり言葉のリズムの良さの妙と、怖く読もうとする親の普段とは違うキャラが楽しかったのではないかと、、。

子どもにとって、本当に絶望するほど怖い話は、やはり親としては読みたくありません。

でも、普段から「早く寝なさい」と口を酸っぱくして言われている子どもは、親の小言よりも、「ねないこだれだ」の方が、鮮やかで分かりやすく、納得できるものだったのかもしれません。
むしろ、親の本音(早く寝てほしい)に、楽しくリンクできるツールだったような気がします。

子どもは怖い声で叱られるよりも、絵本の方がきっとずっと楽しいし、大人も物語に乗せて本音をズバッと言えるなんて、本当に素晴らしい絵本だったのだな、、と改めて感じる1冊です。

 

f:id:easy2going:20200412162859j:image②「たぬきのじどうしゃ」長新太偕成社

ナンセンス絵本の天才、長新太さんによる小さい子向けの絵本です。

たぬきのおじさんが、自動車に乗っていると魚が助けを求めて逃げてきます。
向かった先に現れたのは、巨大なカエルの怪物。
圧倒的な大きさの違いに太刀打ちできるわけもありません。
おじさんは、ブルブル震えながら、お腹をたたいたり、クラクションを鳴らしたりして、せめてもの対抗をします。

「ぽんぽん ぶうぶう ぽんぶうぶう」

そのシュールだけど楽しいひびきに、当時3歳の息子はもう夢中。

最初は、乗り物好き男子だから「じどうしゃ」だし、いっか!?と、手に取ったのですが、中を読んでみると、予想と全然違っていて、びっくり!!

無駄に怖がらせておいて、その後の肩すかしがスゴイ、、。
大人からすると「こんなのありえない!」

でも、息子の印象は違ったようです。
最初は、本気で怖がっていましたが、力の抜けた結末に、「何で?!」攻め。
そんなの、大人にも説明できないので、「何でだろね!?」と返すしかありません。

その後、怒涛の「もう一回!」攻撃。

そして、「ぽんぽん ぶうぶう」のくだりを連呼し、日常生活に、たぬきのおじさんが入り込んでくる状態に、、。

これまで、どちらかというと電車や車の図鑑の方を好んでいた息子でしたが、お話のある絵本もちゃんとどっぷり楽しめるんだな、というちょっとした希望が見えました。

怖さの中に、笑いのある塩梅が、大人と子どもが同じ視点に立って物語を楽しめた理由なのでしょうか?!
長新太さんの作品のもつ世界観は、驚きとありえなさ、カラッとした笑いが満ちていて、読後の爽快感がたまらないです。

 

記:まりちゃん

 

 

えほん紹介コラム②

f:id:easy2going:20200410131942j:image「葉っぱのあかちゃん」

写真・文 平野隆久(岩崎書店

 

桜の花びらがすっかり飛び、赤茶けた花の軸だけになると、途端に新緑が芽吹き始めます。

春という季節は、刹那の連続で、目まぐるしく変化が感じられるとき。

子どもと一緒に過ごす時間も、そんな春の感覚に近いのかな、、。

昨日出来なかったことが、今日は出来るんだ!
ということが、結構あります。

うちの8歳児は、今日1人でほぼ助けを借りずに、クッキーを焼きました。

うちの5歳児は、実験の本を読んで、色水を作って喜んでいます。


予定が全部なくなってしまって、ぼんやり子どもを見てると、あれれ、そんなこと出来るんだ!とびっくりすることが、時々あります。

絵本との出会いも、また然りで、私自身に心の隙間がないと、入ってこない絵本があります。


「葉っぱのあかちゃん」は、春の新芽をただただ写真でつづった絵本です。

まだ子どもが小さい頃、友人から頂いた絵本だったのですが、当時育児に目まぐるしかった私は、ゆっくりと木の芽を愛でる余裕はありませんでした笑

今、いつもと違う春を迎え、不要不急じゃないよ、、と遠慮しながら外に出たときに見る春の風景は、いつも通りなのにどこか愛しくて、輝いて見える気がするのは何故なんでしょう?!

そんな感覚で、この絵本を見ると、それぞれの木が、それぞれの形、色、必然性を持って広げる葉っぱの造形に、見入ってしまいます。

まだ赤ちゃんだから、小さくて可愛い存在だけど、ちゃんと生まれ持った形をして、堂々と伸びていく新芽に、いろんな感情が湧いては消えする感じです。

「葉っぱはみどり」とは言うものの、本当は同じ緑色のものは一つもなくて、山はたくさんの違う緑色が集まってできている!

最後のページの淡いカラフルな山の色を、是非じっくり味わってみてください。
きっと心に爽やかな風が吹いてきますよ。

 

記:まりちゃん

えほん紹介コラム①

f:id:easy2going:20200410074802j:image「じいじのさくら山」松成真理子 白泉社

今年、桜が咲いたら是非紹介したいな、、と家に置いていた1冊です。

桜の季節は、出会いと別れの季節でもありますね。
やさしいピンク色の桜の花びらに包まれた表紙が印象的な「じいじのさくら山」。
桜の木を育てたじいじとの思い出、そして別れがテーマになっています。

「ちょうしのわるいところはないかいな」と、桜の木に声をかけて回るじいじ。
「木はなんもこたえんよ」と言っていたおれだけど、じいじと季節を共にしていく中で、気がつくと木に声をかけるようになっているおれ。

桜の木は、じいじの思いも、おれの思いも、ちゃんと受け止めて、春にみごとな花を咲かせてくれました。

命あるもの、自然、季節の変化がドラマティックに描かれていて、
じいじの生き方、そして桜の木の存在感に、じーんとさせられます。

東京の桜は、今年はお花見自粛になってしまいましたが、苦難の中の卒業式を祝い、また3月末に降った重い雪をかぶっても健気に咲いていましたね。
桜の木からのエールをしっかり受け取って、また次の季節を、元気にがんばっていきたいですね!

 

記:まりちゃん

のんきみち3年目もよろしくお願いします

f:id:easy2going:20200424113917j:image4月になりました!
みなさまお元気でしょうか?!
新型コロナウイルスの影響で、休校、自粛、、と生活が大きく変わり、日々流れるニュースから不安が無くなる日はありません。
何より、人と関わることで人の命を脅かしてしまうかもしれない、、という新しい状況に、戸惑いは隠せません。

絵本を介してのコミュニケーションを楽しむ絵本サークル「のんきみち」は、元来、生身の関わりを大切にしてきたので、なかなか活動再開の目処は立たない状況です。


でも、こんな時こそ絵本が役に立つこともあるかもしれません。

ネットやテレビなど、電子機器を使い過ぎて疲れてしまったときに、、

親子関係が煮詰まって、ついイライラを子どもにぶつけてしまったときに、、

ふと絵や写真を眺めて、ホッとしたいときに、、


1冊の絵本が、あなたや家族を温めてくれるかもしれません。


・・・というわけで、「のんきみち」では、のんびりと少しずつ絵本の紹介をしていきたいと思います。

 

※『えほん紹介コラム』とのタイトルで、4/10からスタートしました⭐️